燕の巣について – 燕の巣 サイエンス・ラボ

燕の巣の基礎知識

美しさと若さの源・燕の巣

古来より高級食材であった燕の巣は、楊貴妃をはじめ中国の歴代美女達が、永遠の美しさと若さを保つために好んで食したといわれています。白い色をした燕の巣は、湯でほぐすと銀糸のようになって舌ざわりも絶妙です。残念ながら、日本の家屋の軒下などでよく見かける燕の巣は食べることができません。食用の燕の巣は、アナツバメという種類のツバメのみが、自身の唾液だけを固めて作るもので、とても貴重な食材です。

大自然の洞窟100メートルもの高さで巣づくり

アナツバメが生息するのは、インドから東南アジア、熱帯太平洋、オーストラリア北部にかけてです。燕の巣が採取される国は、タイ、ベトナム、マレーシア、インドネシアなど、地域が限られています。

アナツバメは繁殖期に唾液腺が異常に発達し、粘性の高い唾液を多量に分泌します。これを材料にして、大自然の洞穴の中、100メートルもの高さに集団で巣をつくるのです。巣づくりは最短で40日、平均で2ヵ月にもおよび、出来上がるとのり状の唾液が固まって半透明の白い色になります。

お馴染みのツバメと「アナツバメ」の違い

日本人にお馴染みのツバメとアナツバメは、飛翔方法が似ていますが、系統的には違う鳥です。

日本で家屋の軒下に巣をつくるのはスズメ目ツバメ科に属するツバメで、英語の「スワロー(swallow) 」です。巣の材料は泥なので食用にはなりません。食用になる巣をつくるのは、アマツバメ目アマツバメ科のアナツバメで、英語では「スイフトレット(swiftlet)」。強いツメと握力があり、絶壁に垂直に止まることができるため、洞窟の中のそそり立つ壁での巣づくりが可能なのです。

今や保護対象のアナツバメ

天然の「燕の巣」は希少!

子育ての時期にだけ、限られた地域の大きな洞窟内部の高所につくられるアナツバメの巣。大自然の中の洞穴に入り、100メートルにも及ぶ高さを登っての採取は命がけです。しかし、天然の燕の巣にはそれだけの価値があるのです。

最近では街の廃墟など人工的な建物にアナツバメを呼び寄せて巣をつくらせる養殖が増加してきました。暗さや湿度を洞窟に似せて、ツバメに人工的な餌を与える業者もあります。さらに、化学薬品を使って見た目を良くした粗悪品や、食感が似た別の材料を型に流し込んでつくった全くの偽物もあるほどです。

今のところ、天然の燕の巣と養殖物を簡単に見分ける手段は確立されていません。貴重で人気があるだけに、燕の巣市場は玉石混交になっています。

天然と養殖は栄養が違う

天然の燕の巣の採取は困難を極めます。それでも、天然物を求めるのは、含まれる栄養が豊富だからです。さらに養殖物とは異なり、町中から遠く離れた大自然でつくられるため、 PM2.5などの大気汚染とは無縁であるという安心感もあります。

また天然物は、採取地域が山間部か沿岸部かで2種に分けられます。沿岸部では微妙な塩分が混入するため、大気の影響がない山間部の燕の巣が高品質といわれています。

アナツバメは保護対象。天然「燕の巣」採取は認定業者だけ

天然の燕の巣が山間部で採れるのが、世界屈指の動植物のメッカ“マレーシアのボルネオ島” です。ジャングルの奥にある洞窟内部に巣をつくるアナツバメも保護対象になっており、国の許可なしには巣を採るどころか、ジャングルに入ることもできません。燕の巣を乱獲して生態系を壊すことがないよう、採取期間には地元の警察官などが銃を片手に厳重に管理しています。政府から認定を受けた、非常に限られた業者だけが天然の燕の巣を採取できるのです。